介護や医療の仕事は、「人の役に立ちたい」という想いを持った人が多い分野です。でも、現場では認知症の方の対応や身体介助など、日々の業務に追われて疲れてしまうこともあります。

私自身、そんなときはコーヒーを焙煎したり、植物を育てたり、畑で土に触れる時間がリフレッシュになっています。気分転換のようでいて、こうした多様な経験がむしろ介護の仕事にもいい影響を与えてくれていると感じます。専門家として一つの肩書にこだわるよりも、「ライフパス」としての広がりが、介護の奥行きを豊かにしてくれるんです。

介護の仕事は、結果がすぐ見えるものではありません。利用者さんが「幸せだった」と思えるか、自分がちゃんと向き合えたか、その答えが出るのは何年も先かもしれません。まるでワインづくりのように、実がなり、熟成して、ようやく良い味になるまでには長い時間がかかるのです。

だからこそ、焦らず、おおらかに向き合うことが大切。リハビリも、毎日の入浴も、その人の人生にとってほんの一部。でも、その積み重ねに価値があると信じられるかどうかが、この仕事のやりがいに繋がるのだと思います。

介護の本質は、「その人のいいところを見つけること」にあると思います。「足腰がしっかりしてますね」と声をかけたり、「昔は農業をされていたんですね」と話を引き出したり。人生の背景を知ることで、よりその人らしい支援ができる。だからこそ、他の分野での経験や関心が活きるんです。

ひとつの軸だけに頼らず、複数の柱で支え合うパラレルキャリアは、心や経済の安定にもつながります。介護に関わるすべての人が、自分らしい働き方を選べる世の中になることを願っています。

​

​代表　五百籏頭 祐介